宮本勝海 高普4回 昭和25年度卒

後々まで役だった部活動

 

池新田高校時代の思い出の中で、今もって役立っていると思うのは弁論部へ入った事である。弁論部という部活は現在の高校には無いらしいが、当時は何処の高校にもあった。社会問題、学生生活の在り方、文化や歴史などについて考えを述べるので、様々な情報を得たり本で調べるために図書室へ通った。マイクは使わず大きな会場で何百人もの聴衆に聞こえるように話すため、遠くまで響く声が必要だった。響く声を出す訓練として、先輩に連れられて運動場の西側にある松林へ行き、50音(あいうえお)を腹の底から叫んだ。先輩から「新野長手(にいのながて・池新田から新野へ行く県道)を通る人に聞こえるように声を出せ」と言われた。松林から新野長手までは1km程ある。50音を数回大声で叫んでいると、声が嗄れて出なくなる。それでも毎日発声練習を続けていると、不思議な事に遠くまで通る声が出るようになった。

高校卒業後、教師になるために大学の教育学部へ入学した。童話研究部というサークルへ入って、ここでも大勢の前で童話や人形劇で話す訓練をした。高校で培った話し方や発声が大学のサークルでも役立った。

教職についてからも子どもや大勢の教師の前で話す役に就いたが、何とか人々に分かる程度に話すことができた。教師を退職してからも人前で話す機会がある。内容的には満足できないが、人前で話す事は苦にならない。

高校時代の勉強や部活動は何らかの形で身につき易く、後々の暮らしに役立つものだったとつくずく思うがどうだろうか。

 

元小学校教師

日本自然保護協会自然観察指導員

静岡県環境学習指導員