本間克彦(S35卒業)

 

昭和35年3月、普通科第10回生を卒業してはや60年の歳月が流れた。

あの頃は、生活も楽でなく、勉学のかたわら家の仕事も手伝った。

在学中は国語や音楽の時間が好きだった。

丸尾国雄先生の国語の時間に徒然草を学んだ記憶は、先生の個性的な表情と共に懐かしく思い出す。

社会人となって長く寮生活が続いたその間にも、徒然草を読み返し奥の細道や方丈記に親しんだ。

また、10代後半に登山と出合いその深遠なる魅力に強く牽かれ、今日なお多くの仲間達と楽しんでいる。

やがて、家庭をもち小さな事業を起こし夫婦で懸命に頑張って来たものの、社会の大きな変化の荒波の中に沈んで消え、現在に至っている。

他方、音楽の授業はその後、14年間に及ぶ施設への歌のボランティア活動に繋がっていると自負している。

このように振り返ってみると3年間の学び舎は、人としての生きざまや価値観の深浅の帰結に深く結びついていた掛け替えのない尊い時間だったと考えるのである。